破いて捨てたノート

Webやテクノロジーやそれ以外に関する思いつき

KPIを設定する際に参考にした情報まとめ

WebサービスのKPIについて議論する機会があったので、その際に得た知識を簡単にまとめておきます。

KPIとは?

KPIと似た用語にKGIという用語がある。両者の違いを理解しておくといろいろ捗る。

KPI: Key Performance Indicator(重要業績評価指標)

目標の達成度合いを計る定量的な指標のこと。目標に向かって日々業務を進めていくにあたり、「何を持って進捗とするのか」を定義するために設定される尺度で、現況を指し示す様々な指標の中から、進捗を表現するのに最も適していると思われるものが選択される。KPIは継続的に測定・監視され、その向上のために日々の活動の改善が行われる。達成すべき目標を定量的な指標で表現したものはKGI(Key Goal Indicator)と呼ばれる。

refs: http://e-words.jp/w/KPI.html

KGI: Key Goal Indicator(重要目標達成指標)

組織やプロジェクトが達成すべき目標を定量的な指標で表したもの。抽象的な理念や目的のようなものではなく、「いつ、どの指標がどのレベルに到達したら目標達成とみなすのか」を定義したもの(例:3年後に売上高を10億円以上にする)で、その際に選択された指標自体(例:売上高)のことをKGIと呼ぶ場合もある。日々の進捗を計る指標としてKPI(Key Performance Indicator)が併用されることが多い。

refs: http://e-words.jp/w/KGI.html

優れたKPIの特徴

  • 出来る限り大局的トレンドを良く反映する指標であること

基本的に、何かしらの組織の経営状態であったり経営に関連する指標というのは、もっともっと大局的なトレンドを描いてゆらぐものです。にもかかわらず、毎日グニャグニャせわしくなく上下動する数値をKPIとして選ぶのは、センスがないと言われても仕方ないんじゃないでしょうか?

  • 「どうすれば施策で改善or介入できるか分かる」指標であること

Web系サービスのKPIを考える際には"actionability"(行動可能性)と同時に"controlability"(コントロール可能性)を重視するようにしています。

refs: 「Web系サービス運営でKPIを決める時に気を付けるべき3つのポイント

  • 理解しやすいこと
  • 比較できること
  • 比率や割合であること
  • 行動を変えてくれること

refs: 『Lean Analytics

KPIを設定するための手順

  1. 目標(KGI)を明確にする

    • 「指標」、「値」、「期間」を明確にする
  2. ビジネスロードマップに図示する

    • 「ビジネスロードマップ」とは売上が発生するまでのプロセスを図式化したもの
  3. 数値を明らかにする

    • ビジネスロードマップに値を記入する
    • 取得できていない部分を明確にする
  4. 改善ポイントを選定する

    • 「規模」、「改善施策の実現度」、「期待効果」の3つの条件で優先順位をつける
  5. 目標値を設定する

    • 指標は目標値と合わさって初めて「KPI」と言える
    • 選んだ指標数「n」に対して、「n-1」の指標を 1/n-1 改善した場合にビジネス目標が達成できる値を設定する
      • 1/n-1とする理由は、施策を実施しても思った通りに改善しなかったり、1つの改善が他の指標を下げてしまうなどのリスクを回避するため
  6. 方針をまとめる

    • 状態目標を設定する
      • 現状を目標を設定した月で、サイトやビジネスがどのように変わっているかを言語化する
      • 新たにどのような価値をユーザーに提供しているかなど
    • 課題の洗い出し
    • 成立条件を定義する

refs: 『現場のプロがやさしく書いたWebサイトの分析・改善の教科書

KPIはいくつ設定すべきか?

いくつか説があるみたいです。どの説にせよ共通していることは、あまりKPIの種類を増やしすぎず、定期的に棚卸しすることが重要であるという点です。

7つまでにすべき

認知心理学の古典的な学説として「Millerの7±2チャンク」というものがあります。要は「人間は一度に7±2個のものまでしか同時に処理できない」という説なんですが、なかなかに説得力があると思います。これに倣って、例えば「KPIは7個まで」とか決めた方が良いかもしれないですね。

refs: 「Web系サービス運営でKPIを決める時に気を付けるべき3つのポイント

1つだけ設定すべき

スタートアップの成功の鍵は、本当の意味でフォーカスすること、それを持続させるための規律を持つことだ。フォーカスしていないのに成功したとすれば、それは単なる偶然にすぎない。あてもなくさまよい、膨大な時間をムダにして、苦痛や徒労を経験した末の成功だ。... リーンスタートアップの本質は、正しいことに、正しいときに、正しい考え方でフォーカスすることに他ならない。... アナリティクスとデータの世界では、ステップごとに重要な指標をひとつだけ選んでフォーカスする。ぼくたちはこれを「最重要指標(OMTM)」と呼んでいる。

refs: 『Lean Analytics

その他参考になった情報源

Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法 (THE LEAN SERIES)

Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法 (THE LEAN SERIES)